
最近のニュースによく登場して、存在感が大きくなっている“フーシ派”、一体どのような組織なのでしょうか。
■イエメンで「フーシ派」と「暫定政権」が内戦
アラビア半島で大きなサウジアラビアの南に位置するイエメン。首都サヌアにある旧市街は、世界遺産に登録され、石とレンガで作られた伝統的な高層住宅が立ち並んでいます。
港町の「モカ」は「コーヒー」の名前の由来としても知られています。
ただ、この地域の国としては石油資源に乏しく、1人あたりのGDPでみると195か国中で最下位。その最大の要因が「内戦」です。
2011年の「アラブの春」で、30年以上続いた軍事独裁政権が倒れると、サウジアラビアの支援を受けた勢力が「暫定政権」を誕生させます。
これに反発したのが「反サウジ・反米・反イスラエル」を掲げる「フーシ派」です。「暫定政権」を軍事力で圧倒し、首都サヌアを制圧。暫定政権の大統領はサウジへと逃れました。
以来、暫定政権とフーシ派の間で内戦が続きますが、サウジも度々フーシ派の支配地域を空爆し、多くの市民が犠牲となってきました。
イエメン情勢に詳しい防衛研究所の吉田智聡さんは「もともとフーシ派を支持していなかった人々の間にも、サウジや、その背後でサウジに武器を供給するアメリカへの反発が広がり、フーシ派の求心力を高める一因となった」と指摘します。
■首都・イエメンも支配の軍事力 兵器はイランが供給か
現在、フーシ派の支配地域は、首都を含むイエメンの3分の1に及び、そこでは人口の7割以上が暮らしています。
兵力はおよそ35万人。弾道ミサイルやドローンなどは暫定政権を圧倒するほどで、サウジの石油施設などを攻撃していました。
なぜ、これほどの軍事力を持つようになったのでしょうか。
一つは、前の軍事独裁政権の兵器を獲得したこと。もう一つは、イランの支援です。
サウジと対立するイランはフーシ派に兵器などを供給。イエメンの内戦は、イランとサウジの「代理戦争」の様相も呈する中で犠牲者が増え続けています。
■紅海封鎖で世界の物流が混乱…原油供給にリスク
そして、いまトランプ大統領が神経をとがらせ、世界の原油供給に大きなリスクとなっているのが、フーシ派による紅海の出口の封鎖です。
ホルムズ海峡が封鎖されて以降、紅海は、サウジ産の原油などを迂回して世界へ輸送する重要な代替ルートになっていますが、フーシ派は、その出口の海峡付近を支配しているのです。
トランプ大統領は、フーシ派への攻撃も「検討している」と発言しましたが、防衛研究所の吉田さんは「フーシ派を攻撃しても、軍事的に無力化することは極めて難しい。むしろ報復として、アメリカ関連の船舶に対して紅海での通航禁止を宣言するだろう」と指摘。
そうなると、紅海での緊張が高まり、スエズ運河を経由する世界の物流に、さらなる混乱が広がるおそれがあります。
Copyright© 1995-2026, Tokyo Broadcasting System Television, Inc. All Rights Reserved.